あんまり興味が湧かないタイプのクランクかもしれない
「Mirror」の設計の話です。
プロトタイプを作るに当たって、
一番重要と思えたのが、
ウエイトの設計でした。
ウエイク系のクランクベイトの場合、
リップ周りに注目が集まりそうですが、
リップに関しては、選択肢は多くありません。
設計の方向性が分かりやすいので、
一番最後に微調整をすればいいという認識です。
ウエイトの前にまず、ボディーありきでしたので、
そこから書くと、
まず、フィネス系のサブサーフェスクランクというのがスタートでした。
結果、フラットサイドの細身のボディーということになりました。
仕様用途的にはマッディーよりはクリア寄りのフィールドであり、
ロングキャストもしたいというもの。
ここでコンセプトに矛盾が生じます。
ロングキャストするにはウエイトが必要で、
ウエイトを積むには大きなボディーが必要です。
でもシルエットにボリューム感を持たせたくなかったので、
設計に矛盾が生じたというわけです。
で、一時的に開発はストップしました。
実現は難しいのでは?
という思いと他のモデルが忙しかったので…(^^;)
今年に入ってから、少し心の余裕ができたので、
真剣に設計してみようと思い、色々考えました。
その結果、結構話は単純でした。
要はウエイト設計で簡単に解決できる話だったのです。
Mirrorは2ウエイト仕様になりました。
メインウエイトはお腹に入りつつ、軽めに。
そしてリア(テール部)に挿入する、
ウエイトが巻かれたツイストワイヤー(フックハンガー)が2個目のウエイト。
これによってどうなるか…。
ルアーを色々作っている方ならわかると思いますが、
これにより一石三鳥の効果が期待できます。
分からない方はしばし、シンキングタイム!
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分かりましたか?
まず一つ目。
「飛行姿勢が安定して飛距離が伸びる」
これはテール側にウエイトが積まれることで、
重心移動ウエイトの効果が得られます。
二つ目。
「よりロールしやすくなる」
ナチュラルなアクションを目指すMirrorはこの傾向が好ましいので、
ウエルカムな特性変化です。
三つ目。
「潜りにくくなる」
ウエイクの特性も持たせたいのと、
早巻きでもサブサーフェスに留まらせたいMirrorのコンセプトに
非常にマッチします。
三つ目は二つ目と少し関連してて、
ロールしやすいということは、水を左右に逃がしているということなので、
潜行性能が低下します。
そして、ワンウエイトよりも
ウエイトバランスが全体的に後方に移行するこの2ウエイトは、
フロントが軽くなり、頭が下がりにくくなります。
というわけで、最終的に同じウエイトにしつつ(浮力は確保しつつ)、
飛距離が出て、ロールアクションの、潜りにくいフィネスウエイクベイトの
設計の方向性が見えました。
あとは様々なポイントで微調整をしていきます。
この2ウエイト設計は、リトリーブスピードが速ければ速い程、
はっきりとした差が生まれます。
●水面直下を逃げ惑うベイトフィッシュを演出したい…
●ウィードエリアの薄皮一枚のオープンゾーンを快適にサーチしたい…
●浅いフラットエリアをガンガンサーチしたい…
という思いがある方なら使いどころが具体的に見えるはずです。
超浅いところでなければ、ボトムを叩くことがないので、
根掛かりが心配なオカッパリでも使いやすいクランクだと思います。
ミノーのウエイクベイトよりも回避が期待できますし、
個人的にかなり楽しみなクランクなのです(^^)
ちなみに普通に巻くとサブサーフェスをピラピラとロールしながら泳ぎ、
ロッドを高めにする、またはリトリーブスピードを遅くすると
ウエイクベイトの顔を覗かせます。
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Mirrorの設計の話
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