日々地味な作業ばかりしているせいで
大したネタがないということで、
ここ一、二年リップに関して私が思っていることを
つらつらと書いてみたいと思います。
当ブログの読者の方々は
きっとクランクベイト大好きアングラーだと思うので(^^)
クランクベイトのパーツに関して、
一番目につくのがリップだと思います。
リップはそのクランクベイトの性格を決定する上で、
非常に重要なパーツで、他の要素ともども一言では語れない
奥の深いパーツでもあります。
ここにいくつかのクランクベイトがあります。
全てポリカーボネート製のリップが装着されています。
通常、バルサのハンドメイドクランクというと、
サーキットボードのリップが当たり前のように付いていますが、
用途によっては、こうしたポリカーボネート製リップが
マッチすることも多いのです。
ちなみにモデルをざっと紹介すると、
左からBBX、S60、
Mirrorボディのシャローランナー、DATのFAT版ボディのシャローランナー
です。
はじめに今回の話にあまり関係ない
右側の2つのクランクの説明をすると、
単純に余っているボディを使って、
検証用に作ってみただけのクランクになります。
割とこうした実験のようなことを
ちょこちょこやってまして、
極たまに嬉しい発見をしています(^^)
まあ、この2つに関してはMirrorのSRはそこそこ使えそうな感じで、
FATなDATベースはイマイチですね…。
さて、本題ですが、BBXに関しては、
第一に耐久性の高さからポリカリップを採用しています。
そして、アタリの柔らかさ…というか「曖昧さ」も採用理由のひとつになります。
「曖昧さ」とは何かというと、
分かりやすく言うと感度の低下です。
それは、カバーによる影響の低下とも言えます。
サーキットボードはアクションのキレを上げる他に、
カバーに接触した際の感度を向上させます。
それは具体的にどういうことが起きているかというと、
硬くて薄いものが硬いものに当たった時に、
接触の衝撃が狭い1点に集中する現象が起きているということ。
これは場合によっては、過度な引っ掛かり感を生んでしまいます。
これによるデメリットはリトリーブの際に
硬いものに対しては引っかかり感があったり、
衝撃が大きいことで、ルアーの挙動が安定しなくなること。
柔らかいものに対しては、その中に突っ込みやすくなることが上げられます。
その特性を理解すると
どういうシチュエーションでそれらを使い分ければいいのかが見えてきます。
私の中で確立しているのは、すごくシンプルに言うと
「カバーやボトムにガンガン当てるものはポリカリップ」
「そうでないものはサーキットボード」
です。
特にボトムのカバーに接触する機会が多いタイプだと、
確実にポリカリップのメリットが生きます。
一番分かりやすい例は耐久性という視点で見れば「リップラップや消波ブロック」で、
曖昧さという視点で見ればそれらの他に「泥底や砂底」と言えます。
段々話が複雑になってきましたね(^^;)
ここで具体例を出して説明すると、
ちょっと整理できると思います。
「BBX」は硬いカバーに当てるタイプのいわゆる典型的な
強いアクションと高い浮力を持つカバークランクベイトで、
ウッドカバーはもちろん、リップラップなどの硬いボトム系カバーにもマッチします。
これはリップに非常に負担がかかるので、耐久性が要求されるのと、
「曖昧さ」を使ってなるべく安定して回避させたいシチュエーションです。
適しているのがスクエア形状のポリカリップということになります。
アクション的に問題がなければコフィン形状でもいいかもしれません。
次は「S60」。
このクランクベイトは「BBX」よりも汎用性の高さが求められていて、
そうしたウッドカバーやロック系カバーにも対応しつつ、砂底や泥底、
不意に接触することになる正体不明な沈みものにも対応しなければなりません。
これは関東によくあるローランドフラットレイクと言われる、
濁り水の浅い水域で、岸際からファーストブレイクまでの
ボトム付近をサーチするクランクベイトとして開発しているもので、
詳細を説明するとニッチなクランクベイトに感じるかもしれませんが、
実は汎用性の高いモデルなんです。
個人的には日本のフィールド向けカバークランク
という側面も持っていると思ってます。
S60のボディは汎用性の高さとプアな水域での使用も前提となっているので、
レギュラーサイズのやや細身のラウンドボディになっています。
でも安定感のあるボディ設計でもあります。
アクションは程よいウォブルがしっかりと入り、非常に安定感のある特性です。
これにコフィン形状のやや長めのポリカリップが付き、
様々なシチュエーションに対応するクランクベイトになっています。
このコンセプトはBBX同様にリップが負担がかかるということで、
ポリカリップが採用されているのと、
BBXよりもボトムを意識しているということで、
潜行レンジの設定も含め、ボトムに少し潜っても大丈夫なように
(でもサーキットボードよりはボトムに潜りにくい…というより刺さりにくい)
長めのレングスになっています。
なので、S60は一見ミッドランナーですが、
「S(シャローモデル)」なんです。
そして、そうしたボトム(主に砂底)やその他のありがちなカバーに対して、
総合的にストレス無く安定した挙動でルアーを回避・アクションさせるのは
厚みのあるポリカのコフィンリップということになったわけです。
リップ形状に関して補足すると、
これが泥底だけを意識すると形状はラウンドになると思います。
でもそれってかなり使い勝手が狭くなるので(低水温期とか)、
より汎用性の高いコフィン形状になっています
ショアラインのカバーをかわしながら、
シチュエーションによってはボトムを叩きながら、安定したアクションで、
不意の沈みものも軽やかに回避してくれるというコンセプトの中に、
リップに対しての要求がこと細かに結構あるものですね。
文字に書き起こしてみて、我ながら実感しました(^^;)
最後にポリカリップのデメリット。
これは単純にキレが少しだけ落ちます。
特に低速でかなりハイピッチなアクションを出したい
クランクベイト作りには向きません。
特にフラットサイドクランクなどのアクションが弱めのクランクベイトの場合、
それが顕著になると思います。
ただ、スピードが乗って来る領域だと、
それほど気にならないんですけどね。
逆にアクションが強く出るタイプの特性を持っているクランクベイトだと、
そのデメリットは出にくいです。
リップ素材が違う2つの同モデルを巻き比べれば、その違いは実感できますが、
特にバルサのそうしたクランクベイトの場合は、
デメリットと言える程の違いはありません。
そもそも必要とされるピッチの速さ、レスポンスがあれば良いのであって、
必要以上のハイピッチはピーキーさと紙一重になり、
本末転倒になりかねません。
あとは感度の話。
ボトムの感触を超感じたい時は
サーキットボードの方が良いです。
そう考えると、割とポリカリップも
悪くないということがわかると思います。
要はどういったシチュエーションで使うか…
が全てなんですよね(^^)
いつでもどこでもこれが一番なクランクベイトは無いわけです。
偉そうにリップのアレコレを語ってしまいましたが、
あくまでも私の実感という話ですので、
参考程度に読んでくださいね~♪
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ポリカーボネートリップの話
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